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カナディアンソーラーと接する行動

地球温暖化問題で二酸化炭素をいかに減らすかという議論に端的に現れています。 このように、環境問題は解決の一層難しい問題だと言ってよい。
さて次に、どのような理由で環境を守らなければならないかに関し、「環境倫理」の分野で対立する2つの考え方を紹介しておきましょう。 公害問題は加害者と被害者および運動の方向性が明確でしたが、地球環境問題は当事者・利害関係者が暖昧です。
具体的にどういうことかというと、公害問題では誰が汚染物質を出してそれによって誰が病気になって、そして誰の責任を追及すればいいのかということがはっきりしていました。 これに対して、たとえば地球温暖化の問題だと、加害者は二酸化炭素を出す人たちだとして、当事者となるのは水没する土地に住む人なのか、新たな伝染病などで苦しむ未来の世代なのか、それとも生息地がなくなってしまう動物なのか、といろいろ考えられるわけです。

この場合、原因物質を出す人にも被害が及びますから、被害者と加害者が同じ、ということにもなります。 これは、地球環境問題は人によって見る面が異なるということです。
たとえば熱帯雨林破壊の問題は、先進国の立場からだと生物多様性の保護の問題かもしれませんが、伐採が行われている途上国にとってみればこれは経済開発の問題として立ち現れるでしょう。 このようにその人が置かれる立場によって、それぞれが重要だと思うことが取り出されて議論されます。
ですから、意思決定の場に特定の立場の人間しかいないと、その結論も偏ったものになってしまいます。 当事者・利害関係者が暖昧であるここで問題になるのは、環境を守るといったときに、それを人間の幸福のために守るのか、それとも動物や生態系にも固有の権利があるから守るのか、ということです。
たとえば日本で動物が虐待されたとすると、今の法律では基本的に、その動物に飼い主がいる場合は、その飼い主の所有権・所有物を侵害したということで器物損壊罪になります。 逆に言えば野良犬や野良猫を殺したとしても罪には問われません。
これは日本の法律が、人間の権利が動物に及んでいる、つまり動物に固有の権利を認めないという考え方をしているからです*4。 環境を守るときにも、動物や生態系に権利があるからではなく、人間の幸福のためになるのであれば環境を守ろうという考え方を、ノルウェーの哲学者アルネ・ネスはシャロウ(浅い)エコロジーとして批判しました。
そしてネスは、動物や生態系には固有の権利があり人間の幸福にかかわらず生態系は守られるべきだ、とするディープ(深い)エコロジーを提唱しました。 自然の権利に関して、「当事者適格」という考え方があります。
当事者適格があることは、裁判にあたって正当な法的利害関係があること意味します。 法律上では、利害関係者でないと訴訟を起こすこたとえば、開発によって天然記念物がいなくなってしまうから、自然保護団体が訴訟を起こそうとしたとしましょう。
しかし、自然保護団体は天然記念物がいなくなることで権利が侵害されるわけではないので、この場合、訴訟を起こせません。 そこでアメリカの法哲学者クリストファー・ストーンは、問題となっている天然記念物そのものに当事者適格を認めさせよう、ということを主張しました。
そして法廷に立てない天然記念物に代わって、人間が代理として裁判を起こせるような法理論を展開しました。 これまで述べてきたような様々な理由から、環境問題は錯綜しています。

実際問題としてあるのか、でっちあげられた偽問題にすぎないのか。 利害関係者を確定できるのか等等、環境をなぜ守るかといったときにも、ディープエコロジーのような考え方もあれば、シャロウエコロジーのような考え方もあります。
しかし、いずれにせよ何らかの対策はしなければならないわけで、それについてもさまざまなアプローチのしかたがあります。 このような動物の権利を認めない議論に端的に表れているような人間中心主義的考え方について、歴史家のリン・ホワイト・ジュニアは『機械と神』(青木靖3訳、みすず書房、1972)のなかで、その考えの背景にはキリスト教の世界観があると言って、大きな衝撃を与えました。
キリスト教では、神はまず人間を作って、人間が生きていくために動植物を作ったので、人間は動植物をどのように扱ってもかまわないとみなされつづけてきたのではないか、という議論がこの本の中で展開されました。 ここにシャロウエコロジーの起源を見ることができます。
日本でも、1995年に奄美大島におけるゴルフ場の開発に対してアマミノクロウサギなどを原告に立てて阻止しようとしたのですが、このときはアマミノクロウサギらに当事者適格は認められませんでした。 たとえば、地球温暖化をどう解決するかといったときに、ひとつ考えられるのが宇宙空間に大きな傘を作って地球に照射される太陽光線の量を調節しようという対処法です。
環境問題を、さらに科学技術を発展させることで解決しようという手法は「科学技術主義的解決法」と呼んでいいと思いますが、主として工学部の先生たちがこのような話をしています。 そうではなくて、根本的な原因は二酸化炭素をたくさん出すようなアメリカ型のライフスタイルにあるので、このままの生活を維持していけば絶対に地球環境はだめになる、という考え方もあります。
だから、今やるべきことは科学技術に頼ることよりも、大量消費型のライフスタイルを改めることだとするアプローチのしかたもあり、このような話をする人たちは「ライフスタイル変更派」ということになります。 現在、さまざまな形で環境問題の見直しが始まっています。
ここで紹介したいのが、以前、東京大学の環境安全センターで化学廃棄物の安全管理をされていた中西準子さんによる『環境リスク論』碧波書店、1995)です。 この本の中では次のような議論が行われ、大きな反響がありました。

水俣病を対象に、ある計算をすると、原因となるメチル水銀を出さないように製造法を変えることで、20人程度の知覚障害を未然に防いだことが判明しました。 そしてこの製造法を変えるのに600億円くらいかかっているから、一人の知覚障害を防ぐのに30億円かけたことになる。
これはお金のかけすぎじゃないか、もっと有効な利用法、たとえば福祉などにお金を回すなどができたのではないのか、というのがこの本の議論です。 このようなリスク論の考え方には賛成意見もありますが、一方で批判もあります。
ここで何が問題として指摘されたかを、高名な経済学者である宇沢弘文さんの著書『自動車の社会的費用』(岩波書店1974における議論を紹介しながら説明します。 たとえば交通事故が起こって人が死ぬと、それは社会的な負担になります。
そこで自動車業界が自動車の社会的費用*7を計算して、一人当たり6000円くらいという結果が出ました。 どうやって計算したかというと、人が亡くなったときに支払われる補償金*8の合計額を全国民で割るということをしました。
一方で、宇沢先生の計算によると、だいたい200万から300万円という結果が出ました。 これは、まず人の命は守られるべきだという前提の下、そのために必要な道路の整備費や公共事業の投資金額などを計算したからです。

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